Kanmu Tech Dayを継続してやっている話
カンム社では毎月第三火曜日にKanmu Tech Dayという催し物をやっている。2018年11月から継続しているのでそろそろ8回目を迎えるんだけど、これがかなり楽しい。なので、なぜやりはじめたか、どのように継続しているか、何が良いのかをまとめる。
なぜやりはじめたか
毎週全社で集まってKPTをやっていたんだけどその中でマーケの人から「ハッカソンみたいなのってやらないんですか」と言われ、その場では「ちょっと考えてみるね!」という話をして、なんとなく15分くらい考えてみて以下の感じで雑にまとめてえいやで第一回を開催した。
前提
- 金融のテックカンパニーを目指す
- どういう部門でも既存技術を使って効率化できる事が存在する
Kanmu Tech Day
- 今回一旦やってみる感じにする
- お題は「全部署テクノロジーを使ってプロセスを効率化、もしくは楽しいことをする」
- ぶっちゃけ良いかどうかわからんので一旦コレで行くけど今後いい感じにしていきたい
- エンジニア勢はある程度TA的な動きもする
- 一応業務時間内で行うので任意参加且つ急な業務入ったらそれやる、くらいの位置付け
上記は当時のSlackからそのまま転写しているんだけど、経緯を少し詳細に書く。
「金融のテックカンパニーを目指す」についてだけど、コレは代表の 8maki が起業当初からずっと言っている事。もともと8maki氏はソフトウェアエンジニアだったので、自分が入社した当時はプロダクションコードを書いていた。自分もカンムに入ってからソフトウェアエンジニアを5年ほどやっており、2013年に入社した契機もこの言葉に惹かれたところが結構大きい。
金融のテックカンパニーってなんだよ、という話だけど、2013年当時のクレジットカードWeb明細、オンラインバンキング、振込は平日15時まで、みたいなものって、それが技術的な制約なのであれば圧倒的にアップデートできるんじゃないか、それを可能とするのはソフトウェアエンジニア的素養がある人間がリードしながら諸問題をテクノロジーで解決していく会社なんじゃないのか、というところから出てきている。
もちろん当時から日本にも Tsuru Capital みたいな会社は存在していて、高いソフトウェアエンジニアリング力 x 金融領域で成長している組織はあった。ただ、2013年に「C向けで」という意味においては日本国内にはそこまで存在していなかったと記憶している。
結局ソフトウェアエンジニアリング"だけ"では貫けない壁は沢山あるんだけど、それでも自分が惹かれた「金融のテックカンパニーを目指す」というこの会社の姿勢は、Kanmu Tech Dayというイベントを通して強めていけるのではないかという思いがあった。ただし、全員参加型となるとまぁまぁ難しい。エンジニアだけだったらなんとなく自走してやっていけるけど、経理財務やマーケティング領域の人たちがどうやって参加しやすいようにすれば良いだろうか、というのは考えねばならない。
そこで考えたのが「どういう部門でも既存技術を使って効率化できる事が存在する」という部分。コードを書かなくてもGoogle Docs/Spreadsheet/Slideの機能を活用することで既存のオペレーションを効率化することは可能だと考えた。一度立ち止まって、普段のオペレーションを見直し、何かもっと効率的にできる方法はないかというのを見つめ直す機会という意味でのTech Dayという時間は、「コードは書かないけどとりあえず」という人にとっても楽しめるものなんじゃないのかということだ。
幸い、去年末のタイミングまでに スパルタンSQLこと社内SQL講座 もかなり進捗しており、SQLで自分の知りたい事を知るクエリをサクッと書ける人たちは増えていたため、「どういう部門でも既存技術を使って効率化できる事が存在する」を追記し、まぁ駄目だったらやめればいいやという精神で第一回を実施した。
第一回Tech Day
結論から言うと、以下の hiroakis のツイートにもある通り、はちゃめちゃに盛り上がってしまった。
今日はカンム入って良かったなってポイントがあって、Bizの人たちが業務効率化のためにGAS書いたり、外部API叩いて情報採取するツールをガリガリ書いてるのを目の当たりにした。みんなすごいよ。
— hiroakis (@la_luna_azul) 2018年11月2日
なんとなくフワッとできること増えたらいいなぁ〜くらいの気持ちで始めた企画だが、みんなガッツリやってきてくれており、中にはGASを自分で学んでGoogle Spreadsheetと連携させてたり、Slackのbot作ってくれたりと、「え、マジでそれは便利やんけ」となる作品が揃ってしまった。なんてこった。みんなすごい。
これは継続するしかねぇな!!!
どのように継続しているか
自分はこういう社内イベントの継続の鍵はリード取る人間の気合説を唱えている。SQL講座にしても結局普段業務で忙しいからとおざなりになる事が多い社内イベントだけど、「長期的に見たら絶対正しい」と思えるのであれば短期コストは適切にコントロールして、省力化しつつもやり続ける気合が大切だ。なのでCTOはもちろんのこと、CEO、CFO、COOも全力でやる。特に最近CFOのTech Day作品の質がどんどん向上しており(Python + OCRで請求書を読み取りSpreadsheetにまとめる)、エンジニア勢もめちゃくちゃテンションが上がる状態が継続している。
またこれは最初から実施しているんだけど #pj-techday
チャネルを作り、その中でわからないことをエンジニアに聞けるようにした。このチャネルの中でゆるく非同期でエンジニア勢がサポートしていってくれている。サポートに関して言えば、オフィスの共有スペースでエンジニアがTAとしてみんなの質問に答える時間というのも設けている。通常業務もあるのである程度まとまった時間を質問への回答に使う事にしている。
加えて、hiroakisがスパルタンGASを開始してくれた。コレはプログラミングの基礎+GASの基礎講座であり、エンジニア以外の全社員の参加が推奨されている。GASは実行環境の構築等が不要で、みんなが普段使っているGoogle製品との連携も便利なので諸々の自動化案件には非常に向いているなと思う。この講座を始めたことによってTech Dayの改善にも幅が出てきているなと感じる。何よりこの講座を受けている人たちが楽しそうにしているのが良い。
Tech Dayと通常業務との兼ね合いは完全に社員にお任せしている。平日なので緊急度の高いものについてはやらなければならないが、月に1回カレンダーには定期スケジューリングされているのでそこまでにある程度仕事調整して参加推奨です、という感じにとどめている。この辺りはまだバランス難しい時もあるんだけど、継続的にどういう風にやっていけばいいのか調整中だ。
何が良いのか
各メンバーが課題やめんどくさい事を発見した際に自力で解決できる策が増えている。これにつきる。
マーケティング側でも代理店とのコストのやり取りで発生してしまう事故を未然に検知するようなアラートを出す仕組みを考えたり、デザイナー側がGoogle Search Consoleからデータを取ってきてSlackに通知するような仕組みを構築したり、CSが本人確認書類不備の理由をトラッキングするダッシュボードを構築しアプリUI改善に役立てたり、ランチの行き先の投票用botをSlack上に生み出したり、手に入れた知見を自分たちのドメイン中の課題/日頃感じているめんどくささを解決する為に応用する流れができており、コレはマジで良いと思う。
このポストの最後で 自分がCOOになった理由のうちの一つを「ソフトウェアエンジニアリングは今後10年くらいで各職種の中に溶けていくだろうし、それの先鋒を切るのは面白そう」としている。これが今、目の前で、自分だけじゃなくて会社的に発生しているのを見て、めちゃくちゃ楽しくなってしまっている。
既存金融機関の10倍の生産性を持つ組織はきっと、各職種の中にソフトウェアエンジニアリングが溶けていっている組織であり、新しく入ってくる人たちも楽しみながらエンジニアリングを学んでいける場所、それが「金融のテックカンパニーを目指す」という事の一側面なのではないかということを、このKanmu Tech Dayを継続している中で感じている。今後も可能な限り改善を重ねながら継続していきたいと思う。
そんな感じでTech Dayを運用しているのですが、カンムの話を聞いてみたい人を圧倒的に募集しておりますのでよろしければ是非!!!
というわけでもしご興味あればぜひ!!!説明に伺います!!
— アチク (@_achiku) 2019年5月26日
https://t.co/QrJEzOFwY2